時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

福田首相がチベットの地位を問われたら

 本日正午過ぎ、日中首脳の共同記者会見が開かれましたが、残念なことに、会場の記者からの質問は、肝心要な部分を避けていたように思います。おそらく、予め質疑応答のシナリオが準備されていたからかもしれませんが、もし、福田首相に対して、記者の中から、チベットの地位に関する日本国政府の認識に関する質問が出されたとしましたら、何と答えたのでしょうか。

 もちろん、国際法に従えば、当然に、占領状態にあるチベットは独立国としての主権を持つべきであり、中国政府は、チベットの植民地支配に終止符を打つべきである、とする答えが正解となるはずです。しかしながら、この単刀直入の質問がなかったせいか、福田首相は、”国際社会の懸念を払拭するように”という言葉で、日本国のチベット政策に関する方針を明言することを避けてしまったのです。この言葉を聞く限りでは、もしや、日本国は、中国のチベット支配を容認しているのでないか、という疑いを持たざるを得ません。占領地の住民に対する弾圧さえなければ、侵略による領土併合は許されるのでしょうか。

 中国政府が、国際社会の懸念を払拭できていないように、日本国政府もまた、国民からの疑いを払拭できていないように思うのです。そろそろ、日本国政府は、チベット問題に対する自国の方針を明確にし、国民に説明すべき時期に来ているのではないでしょうか。

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