時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

30万人留学生プランは計画経済

 最近になって、政府は、移民政策に関連して、”30万人留学生プラン”などを打ち出すようになりました。この数値目標付きの”プラン”には、悪しき計画経済のニュアンスがあり、その行く先に、不安を禁じえません。この計画は、将来においてとんでもないトラブルの素になりそうのです。

 それは、固定化された数値とは、えてして、現状と合わなくなったり、時代の変化に対応できなくなるからです。官僚組織とは、30万と決めた限り、その数値目標の達成に躍起になるものであり、しかも、国際的な公約ともなりますと、なかなか計画を変更することができません。このため、計画の実施に当たって、日本国のキャパシティーや景気の変動が無視されることになりかねないのです。

 例えば、もし、海外からの留学生の滞在費の全部、または、一部が、日本国の国庫から支給されているとしますと、自動的な支出故に、政府の財政悪化の加速を止められなくなります。
 また、日本国の景気が減速しますと、卒業後の雇用を確保することが難しくなります。この30万という数値を大学の就学期間の4年で割るとしましても、年間7万5千人です。その全てが、日本国で就業しないと考えても、相当の数の雇用を要すると予測されるのです。しかも、仮に、三分の二の毎年5万人づつが日本企業に就職するとしますと、10年で50万人、20年で100万人という膨大な数が累積されてゆくことになります。その分、当然に、日本人の雇用機会が減るわけですから、失業問題も発生しそうです。また反対に、日本国に留学しても、就職できないとなりますと、今度は、留学生側からの不満の声が上がりそうなのです。

 一度プランが動き始めますと、それを止めることは大変難しくなります。移民といった社会全体に影響を与える政策については、数値目標付きの”プラン”などはじめから立案すべきではなく、トラブルは、事前に防ぐ方が賢明なのではないか、と思うのです。

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