時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

報道されないチベットの被害状況

 四川省で発生した大地震において1000万人にも上る方々が罹災し、大切な家族を失われるなど、尋常ではない犠牲の大きさに心が痛みます。震源地の周辺は、アバ・チベット族などの少数民族がが多く居住し、中国政府の救援隊が入り、必死の救出作業を行っているようです。しかしながら、西部山間部のチベットに関する情報がないことも心配なところです。

 一説によりますと、地震の混乱に乗じてチベットの人々が反乱を起こすことを警戒したために、中国政府は、大規模な武装警察官を送ったとの憶測が飛び交っています。もし、チベットにおいて、多数のチベット人の方々が被災していたとしたら、漢民族同様に、政府の救援の手が差し伸べられているのでしょうか。中国政府は、しきりに、温家宝氏が陣頭指揮をとる模様をプロパガンダとして放映しておりますが、成都といった平地の都市部の映像に偏っており、山間部の映像はわずかしかありません(もちろん、交通や通信が遮断されていることもありますが・・・)。

 中国政府は、この大災害が転じて、中国への同情が高まり、自国への批判が緩むことを期待しているようです。しかしながら、その一方で、弾圧を受け続けたチベットを置き去りにしてはならないと思うのです。無残な状況にあって家族を亡くす悲しみは、地震という天災であれ、弾圧という人災であれ、同じなのですから。

 よろしければ、クリックをお願いいたします。
<A HREF="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</A>