時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

記者クラブはマスコミ統制の手段?

 聖火リレー胡主席訪日の報道に際し、国民の多くが特に違和感を覚えたことは、マスコミが、日中政府の共同演出によるプロパガンダ作戦のお先棒を担いでいることでした。これまで、マスコミは、三権に次ぐ第四の権力とも称され、独立した立場から、政府を牽制する役割が期待されていました。ところが、最近に至って、民主主義国家の特徴でもあるこの”権力分立”が働かなくなり、全体主義国家よろしく、日本国内でも、マスコミの政治利用と中央集権化が起きているようなのです。

 その要因は、数多く指摘されているのですが、マスコミが独立性を維持できない理由として、記者クラブ制度が存在することが大きいのではないか、と思うのです。しばしば、マスコミの中国寄りの報道は、親中のスタンスを示さないと、中国政府から締め出され、情報を得ることができなくなるから、と説明されてきました。国内でも、全くこれと同じように、記者クラブからの締め出しを恐れて、政府寄りの報道しかできなくなっているのでは、と推測するのです。政府が、記者クラブ制度をソフトな統制に転用すると、マスコミは、独立的な立場から客観的な記事を書くことができなくなるのです。これでは、マスコミが、”社会の木鐸”として担うべき役割を十分に果たせるわけはありません。

 記者クラブについては、外国からもメディア市場の開放の観点から是正を求められていますが、日本国民のためにも、マスコミが政府のプロパガンダの手段となる記者クラブ制度は、見直しを行うべきではないかと思うのです。現在の日本国を覆う息苦しさは、記者クラブの廃止や制度改革によって、少しは緩和されるかもしれません。

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