時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

何かがおかしいアフリカ支援会議

 現在、横浜において、アフリカ諸国の首脳を招いて、TICAD―アフリカ支援会議―が日本国政府主催で開かれています。資源の宝庫であるアフリカ諸国との経済的な繋がりを強化し、また、国際社会における日本国への支持を広げようとする狙いがあるようなのですが、この方法、何かがおかしいと感じてしまうのです。

 おかしいと感じる原因の一つに、まず、首脳外交という方法が挙げられます。アフリカ諸国では、為政者の側に問題があることが多く、構造的な政治腐敗も指摘されています。アフリカの飢餓や貧困についての大々的にキャンペーンが張られる一方で、莫大な予算を費やして会議を開くことは、本末転倒のようにも思えるのです。この予算があれば、食糧支援やワクチンの提供により、実際に困っている多くのアフリカの人々を救うことができますので、首脳達への饗応やプロパガンダに力を入れる様子には、偽善の香りがするのです。

 さらにおかしいと感じることは、日本国が、全アフリカ諸国を自国に招くという方法です。これは、何か、自国中心の朝貢制度を思い起こさせてしまいます。EU・アフリカ間には地域間対話という側面がありますので、こうした仕組みを作っているのは、日本を除いては、朝貢体制の歴史を持つ中国のみとなります。

 もうひとつおかしいと感じることを挙げるとすれば、首相が、あっさりとODAの予算増額を約束してしまっていることです。本来、予算を要する政策には、議会の承認が必要なはずですし、財政再建という優先課題もあります。ODAを増やせば、他の予算を減らすか、増税をしなくてはならないのですから、国民を無視した安請け合いは、禁物であると思うのです。

 アフリカ諸国を支援しようとする目的は正しくとも、方法が適切でありませんと、アフリカ諸国の名誉さえ傷つけてしまうかもしれません。そうして、政治的なイベントとして支援会議を開催するぐらいならば、実質的な支援の方に力をいれるべきではないか、と思うのです。

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