時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

道州制への移行は地方分権化?

 本日の新聞報道によりますと、自民党道州制推進本部は、本日午後、はじめて具体的な道州制の区割り案を提示したと言います(本日付日経夕刊)。これまでにも道州制への移行は、地方分権の一環として取り上げられてはきましたが、この改革、本当に、地方分権の推進になるのでしょうか。

 どうして疑問に思うのかと申しますと、中央の側から見れば、財政などの権限移転が伴いますので、地方分権となるのですが、地方の側から見ますと、「州都」への権限移譲を意味しますので、必ずしも地方分権とは言い切れないからです。また、文化的な纏まりでもあった県を廃し、地方の単位を大きくしますと、日本国に、人々の自然な結びつきに基づいた、多様で豊かな地方色が残らなくなるという心配もあります。

 このように考えますと、国と県との間に、州という人工的な枠組みを置き、市町村を加えた各階層の間で、適切に統治権限を分けて分担するという方法も考えられそうです(州は、主として行政上の権限を持つ・・・)。かつて、エドマンド・バークは、フランス革命後の人工的な行政区の区割りを評して、”まるで、征服者のようだ”と述べました。あまりに人為的な線引きですと、何か、日本国にメスが入れられ、改造されてしまいそうな印象を受けてしまうのです。

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