時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日中友好演出少なし仁

 もはや共産主義を統治の柱に据えられなくなった中国は、最近に至って、孔子の思想を大々的に宣伝し、西欧起源の民主主義や自由よりも優れていると自慢していると言います。その中国が礼賛する孔子が著した『論語』の中に、”子の曰く、巧言令色、少なし仁”という言葉があります。この言葉は、孔子が、”言葉を巧みに飾り立て、にこやかに顔つきをしていても、そういう時に限って、仁の徳などないものだ”、ということを説いたものとされています。

 今月6日に来日した胡主席の訪日に際しての、日中友好の演出の空々しさを見せつけられるにつけ、この言葉が思い出されてしまいます。何か、とんでもない茶番劇を見せられているようで、”友好””相互信頼””戦略的互恵”といった装飾された言葉が強調されればされるほどに、現実とのギャップによる違和感が増してしまうのです。実際には、国民の多くが、中国に対して不快感と不信感を抱き、警戒しているにもかかわらず、政府もマスコミも、それを伝えようとはしません。偽りの姿が、真の姿を乗っ取り、居座ろうとしているかのようです。

 果たして、日中関係に、仁の徳などあるのでしょうか。孔子の思想とは、為政者に対して人格を磨き、徳を備えることを求めた政治倫理の教えであるはずです。中国の孔子礼賛は、自らの行為に跳ね返り、孔子の言葉は、二千五百年以上の時を経て、現代の日中の為政者たちの心に鋭く突き刺さるのでしょうか。

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