時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

最善の道は中国が野蛮から抜け出すこと

 中国によるチベットや新疆ウイグルにおける民族弾圧や抹殺は、中国の伝統的な慣習であって、古代から繰り返されてきた行為の継続に過ぎない、とする意見があります。つまり、仕方がない、ということです。しかしながら、ここで諦めてしまいますと、人類は、中国の野蛮な風習に染まってしまうのではないでしょうか。

 昨日の早稲田大学での講演会において、胡主席は、共産主義体制下における”科学的発展”を力説していました。しかしながら、たとえ物質的な発展を遂げたとしても、精神的な発展を疎かにしたのでは、野蛮人が、文明の利器を振り回すという、さらに恐ろしい状況がもたらされるとも限りません。野蛮な心の人が、核のボタンに手をかけていることほど、危険なことはないのです。

 共産主義の最大の欠点は、人の心を育てないことです。善き社会の基礎となるべき人の心とは、相手の自由や権利をも認めるという相互性を伴うものです。暴力革命を信奉する人々が、暴力という野蛮な行為を否定するわけはありませんし、所有権のみならず、個人の命や身体に対する権利さえも認めないイデオロギーにあって、相互性が育つわけがありません。このことは、国と国との関係にも言えることであり、中国は、チベットやウィグルの人々の自由や権利を認めようとはしないのです。

 真の人類の進歩とは、心が伴わなくては野蛮を増幅させるに過ぎなくなります。弾圧行為を中国の伝統として見過ごすことは、自らが野蛮になり下がることなのですから、日本国は、中国に歩調を合わせるよりも、中国を野蛮の世界から引き出すことに尽力すべきではないか、と思うのです。

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