時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

古代にもあった日本国の対中政策論争

 現在、日本国の政界では、中国に対して一線を画した外交が良いのか、それとも、融和政策が良いのか、議論が大きく分かれているようです。

 対中政策の選択は、日本国の運命を決定づけることになるのですが、実は、過去において日本国が同様の立場に置かれた時代が何度かありました。特に、唐が拡大政策を開始した7世紀が、まさに、そうした危機の時代でした。当時の日本国もまた、反唐派と親唐派とに分かれて対立することになり、天智派と天武派との争いである壬申の乱もまた、その余波と見ることもできるのです。

 私事にて恐縮いたしますが、日本史研究家である姉の倉西裕子が、今月『救世観音像 封印の謎』という本を、白水社から出版いたしました。この本には、激動の時代の古代日本の外交が、法隆寺の仏像のなぞ解きを通して描かれています。現在の政策の選択を考える上でも、古代史から見えてくる歴史の教訓は、大いに参考になるのではないか、と思うのです。