時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

裁判員制度の新聞広告は逆効果?

 本日の朝刊には、新聞各社とも、裁判員制度に関する広告を一面を割いて掲載していました。裁判員制度は国民に負担をかけるものではないことをアピールしようとしたのでしょうが、その内容を読んでみますと、むしろ、逆効果なのではないか、と思うのです。

 1.裁判員の仕事は3日で終わる
    死刑という重い判決もあり得るにも拘わらず、あまりに、お手軽な印象を与えています。
 2.素朴な疑問を大事にすることが、正しい裁判を作り出す
    裁判員制度に対する素朴な疑問が議論すれば、より適切な制度を築けたはずです(この意見
    は、裁判とは直接関係ありませんが・・・)。
 3.裁判員の交通費と日当
    国民の義務としながら、まるで、臨時公務員のアルバイトか何かのような言い方です。
 4.大量の書類を読む必要はないし、法律の知識もいらない
    証人や被告の話を聞くだけで正しい判断ができるはずはありません。また、陪審員とは異なり、
    裁判員は法律の適用も担いますので、法律の知識は絶対に必要です。
 5.裁判員の名前や住所などは、公にされない
    非公開のみでは、裁判員の身の安全が確保される保障はありません。    

 さらに、創価学会の宣伝塔であるタレントの起用は、この制度が、中立・公平な制度であるのか疑いを持たせる要因ともなっています。中立・公平性を旨とする司法制度の宣伝に、明らかな偏向が見られるのですから、裁判員制度自体への信頼も低下してしまいましょう。少なくとも、この広告を読んだ私は、裁判員制度に対する疑いをさらに強めたのでした。