時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

マニフェストと国会運営のルール作り

 国会運営において、国民が、最も恐れるべき事態とは、選挙で多数を占めた政党が、マニフェストに記載されていない法案を、突然、数の力で通してしまうことです。国民の支持が定かでない政策が、勝手に動き出すことになるのですから、これほど恐怖なことはありません。

 こうした事態を避けるためには、マニフェストと国会運営との間に、何らかのルールを作っておく必要があります。例えば、1)衆参両院とも、議員の任期中に開かれる国会においては、原則として、マニフェスト記載された事項に関する法案のみを採決すること(委任立法はこの限りではない)、2)マニフェストに記載しなかった法案を国会に提出し、審議することは許されるが、採択は、選挙後に開かれる国会において行うこと、3)特に対外政策など、政策上、至急を要する案件は、マニフェストになくとも採択できるが、選挙後の国会において見直しができること、などが考えられます。将来的には、これらのルールに、国民投票を加えることもできましょう。

 いかなる政策も、国民の反感を招いたり、国民の理解が不足している状況で実施しても、上手く運営できないものです。民主主義国家としての国政のルール作りを進めることによって、政治と国民との関係は、より確かなものとなってゆくのではないでしょうか。