時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

軍事独裁国家は”外套”を脱ぐのか?

 今回の南北首脳会談は、あたかも、韓国の蘆武鉉大統領が推し進めてきた”太陽政策”の総仕上げのような観を受けます。南北首脳宣言では、朝鮮戦争の平和条約による平和体制の構築や韓国による大型の経済支援などが謳われました。しかしながら、最も肝心なこと、すなわち、北朝鮮が特異な軍事独裁体制をやめるか、否か、については、全く触れられていないのです。

 そもそも、”太陽政策”なるものが、融和政策で懐柔することで、北朝鮮軍事独裁体制を平和裏に変化させることを意図しているならば、その最終目標は、北朝鮮の体制移行のはずです。このプロセスから南北首脳宣言を見ますと、韓国=”太陽”が、北朝鮮=旅人が”外套”=軍事独裁体制を必要としない状況を造りだしたと言えるかもしれません。

 しかしながら、本当に、旅人は、”外套”を脱ぐのでしょうか?太陽政策の間に、さらにたくさん着込んだ”外套”の一枚目=核兵器だけを、脱いだ素振りを見せているだけなのかもしれません。これでは、単に、独裁体制の支援に堕してしまうことになりましょう。