時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

法学の教科化は犯罪も防ぐ

 義務教育過程で法律を教えることは、近年増加傾向にある”いじめ”事件の対策にもなりますし、さらには、社会全体の犯罪件数を減らす効果があるかもしれません。全ての人々が、何が犯罪であるのかを知ることは、社会の安全を守るために必要なことなのです。

 これまで、人を殺してはいけない、とか、盗みを働いてはいけない、とか、嘘をついてはいけない、といった基本的な社会の禁止行為は、家庭や近所付き合いなどを通して、自然に子供たちに伝えられてきました。しかしながら、現代社会は、共働きの家庭の増加や近所付き合いの希薄化により、社会的なルールを伝える機能が低下しているのです。これを放置しますと、子供たちは、他者を平気で傷つけてしまう大人になっていまうかもしれません。

 学校や職場を舞台とした目を覆うばかりの”いじめ”や”リンチ事件”が起こるたびに、声高に責任の所在や処罰が取り沙汰されます。しかしながら、事後的な対処のみならず、長期的な視野に立った予防策をも検討すべきであり、社会科、あるいは、道徳教育の一環として、法律、特に刑法に関しては、学校で教えるべきではないか、と思うのです。何が犯罪であるかを知っていることは、心の抑止力となりましょう。