時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

国会のねじれは憲法改正でしか直せない

 インド洋での給油活動延長に関する法案をめぐり、衆議院参議院との”ねじれ”た関係が問題視されるようになってきています。この”ねじれ”は、三重の”ねじれ”の複合体です。

 第1の”ねじれ”は、首相選出の権限は衆議院に優位を認める一方で、一般の法案については三分の二条項を設けて参議院の優位を認めていることです。つまり、この”ねじれ”は、議院内閣制にもかかわらず、政府と議会とに不一致が生じる要因となります。第2の”ねじれ”は、衆議院参議院との間にあります。両院制を採用している限り、今回の選挙で明らかになったように、両議院における第一党が異なる場合もありうるのです。第3の”ねじれ”は、政党間の”ねじれ”として表現できます。これは、各政党ともに、左派と右派がおり、法案に対して常に挙党体制を形成できないことです。

 この三重の”ねじれ”の結果、現在の日本政治は機能不全に陥っています。憲法改正については、第9条のみが注目されますが、この機能不全を解消するためには、制度改革を行わなくてはなりません。すなわち、憲法改正なくして制度的な問題を解決することはできないのです。