時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

長期的な信用を考えない中国

 北京オリンピックの開会式では、CGによる映像を使っていたり、革命歌を歌った少女が”口ばく”であったりしたため、”見かけ”重視の演出が批判されることとなりました。この事件で明らかとなったことは、中国政府、あるいは、開会式を演出した人は、一時の誤魔化しや捏造が”ばれ”た時の周囲のリアクションを考慮していなかったことです。

 一瞬、完璧と見えたものでも、それが完璧であればあるほど(個人的には演出過剰の悪趣味にも思われましたが・・・)、一点の誤魔化しでもありますと、むしろ、そちらの方が大きく取り上げられるものです。不思議なことに、完璧さの記憶のほうは消え去って、後には、後に起きたスキャンダルの方が強く印象として残ってしまうのです。確かに、主催者側は、開会式の見栄えの完璧さを狙ったのでしょう。しかしながら、そのために誤魔化しの手法を用いたとしますと、いわば、後に至って、自らの作品に汚点となるような危ない演出を自ら仕掛けたことになるのです。

 世界に向けて発信された開会式の映像によって、中国とは、長期的な信用よりも、短期的で表面的な成功の方を優先する国であると見做される結果を招いたかもしれません。それでも、中国国内において、この演出が批難の的になっているとしますと、中国国民の方が、まだしもまっとうな判断力を持っていると言えるのかもしれませんが。

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