時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

河野談話の再検証-最低限明確にすべきポイント

 韓国政府による”慰安婦”宣伝活動によって、日本国の国際社会におけるイメージは著しく損なわれてしました。河野談話の再検証作業は、名誉回復のために最初の一歩となりますが、最低限、明確にすべきポイントを以下に挙げてみました。

1.”慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たった”
 募集に関しては、陸軍省兵務局兵務課起草の1938年3月4日付の文章によって明らかなように、悪徳業者が横行した結果として、軍が事業者を選別するようになり、また警察も取り締まりを実施していました。談話の文章では、軍や警察が取り締まりを実施していた実態が見えてきません。

2.”甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多く”
 残されている新聞紙面上の公募広告もあり、高給であったことから自由意思による応募も多数あったはずです。”元慰安婦”証言でも民間事業者による甘言が最も多く、”数多く”という表現は不適切です。この表現では、大多数が騙されて連行されたとするイメージが固定化します(なお、当時の朝鮮半島の”憲兵”も大半が朝鮮人…)。

3.”慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった”
 アメリカの公文書館に保管されている”慰安婦”の聞き取り調査からは、余暇を楽しんだり、経済的にも恵まれていた”慰安婦”の実像が浮かび上がってきます。劣悪な環境に置かれた”慰安婦”も確かに存在していたのでしょうが、一部を全体の如くに見なすことは誤解の原因となります。

4.そして何よりも明確にしなければならいことは、日本国政府が、朝鮮人女性の強制連行を命じた命令書は一切存在していないことです(軍紀違反や戦争犯罪はあったとしても)。この点は、朝鮮総督府の元官吏の方の証言などもあります。

5.また、河野談話では、朝鮮半島での慰安婦募集と占領地での戦争犯罪とを分けておらず、占領地での戦争犯罪の事例が、韓国の主張の正当化に利用される原因となっています。

 河野談話の全文を読んでみますと、マイナス情報を最大限拡大解釈し、プラス情報については、敢えて文面から外したかのようです。軍や警察の取り締まりや慰安婦の給与額を明記していれば、読む側の印象も随分と違ていたことでしょう。河野談話の再検証に関しては、”元慰安婦証言”の内容の裏付け調査のみならず、日本側の資料との照らし合わせも不可欠な作業過程であると思うのです。

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