時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

‘ネオ・ユダヤ人’の国家権力掌握の行方

 本日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。‘ネオ・ユダヤ人’の形成から、特に、近代以降、ユダヤ人社会は分裂していたと考えられます。そして、先祖伝来のユダヤ人というよりも、‘ネオ・ユダヤ人’達が中心となって、ユダヤ教徒の既存の組織を乗っ取り、イエズス会とも繋がることで”世界悪党連盟”とも称すべき世界支配志向勢力を形成している可能性は高いのです。では、このような世界悪党連盟に、国家権力を掌握されますと、いったいどのような事態が起こるのでしょうか。
 
この問題を、ヘブライ史の事例から見てゆくことにしましょう。先述したように、最古の‘ネオ・ユダヤ人’は、アラブ系のイドメア人です。イドメア人出身のヘロデが、ハスモン王家の王女と結婚したことで、ヘロデとともに多くのイドメア人もユダヤ教団の一員となったと考えることができます。この最古の‘ネオ・ユダヤ人’は、「モーゼの十戒」に無理解であり、むしろ、十戒の教えとは逆のことを行う非文明人であったのですが、ヘロデ王朝の成立によって、ユダヤ人社会の支配者層となったようなのです。ユダヤ教団を支配するようになったヘロデ王ユダヤ人たちに対する対応を纏めてみますと、以下のようになります。
 
1)当時、イエルサレムも含む中近東を支配していたアントニウスクレオパトラに取り入り、ヘロデ王朝を開かせてもらい、非ユダヤ人でありながら、すべてのユダヤ人を支配する立場に立った。
2)このため、先祖伝来のユダヤ人によって、「十戒」の破壊者、非ユダヤ人であると非難され、退位させられることを恐れたヘロデ王は、先祖伝来のユダヤ人たちの男子乳幼児を皆殺しにさせた。
3)モーゼの兄であって、ユダヤ教の祭祀長でもあったアーロンの子孫である洗礼者ヨハネ政治犯として投獄し、さらに、ヨハネの価値を宴会の席でのサロメの下品なダンスと等価と見なして、ヨハネの首をはねた。
4)洗礼者ヨハネと同様に、先祖伝来のユダヤ人であって、しかも、ダビディク・ライン(the Davidic Line)と称される王家の系譜に連なるイエスを、進駐していたローマ帝国の長官に取り入ることで捕縛した。
5)今日で云うなれば、「さくら」と称されるような親衛隊を組織し、イエスと盗賊のバラバのどちらを生かすかをめぐって、盗賊を選ばせ、イエス磔刑に処した。
 
このように、最古の‘ネオ・ユダヤ人’は、先祖伝来のユダヤ人たちに対して悪逆非道なことを行うわけですが、このような事例は、‘ネオ・ユダヤ人’の最初の被害者は、先祖伝来のユダヤ人たちであったことを示しております。そして、また、‘ネオ・ユダヤ人’を中心として組織されている世界悪党連盟に国家権力が掌握されますと、今日でも、同じようなことが起こる可能性をも示しているのではないでしょうか。

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(続く)