時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

黒マリアは御家断絶をもたらす?

今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。芥川龍之介の『黒衣聖母』は、イルミナティーのイエズス会の性格の悪魔性をめぐって、人身供養(他者の犠牲)のみならず、御家断絶による歴史・伝統・文化の破壊策、すなわち、人類の動物化推進策をも示唆しているようです。
 
‘祖母’と跡取りの孫の死によって、素封家の家は、断絶の危機に陥ったと推測することができます。芥川が、黒マリアを御家継承問題に絡めたことには意味があり、黒マリア信仰は、秘かに御家断絶をもたらすような信仰でもあることも示唆しようとしたのかもしれません。
 
御家断絶と言いましたならば、カトリックによる教会法の改正による御家断絶問題が想起されてまいります。カトリックの聖職者の多くが非嫡出子であり、嫡出子に対する嫉妬から教会法を改正し、相続に際しての様々な条件を付け、嫡出子による相続を困難なものとしたことから、中世ヨーロッパでは、その国や地域の歴史・文化・伝統の継承に貢献してきたような多くの名家名門が御家断絶の憂き目にあいました。
 
イエズス会士も非嫡出子が多かったことから、この傾向にあり、黒マリア信仰は、歴史・文化・伝統を担ってきたような御家断絶を望むような信仰であったと推測することができます。そして、歴史・伝統・文化の断絶が、人間の砂状化、無歴史・無文化の動物化に繋がっていることは、イルミナティーが、如何に人類に対して脅威を与えているのかを示していると言えるでしょう。

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(続く)