時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

『蝶々夫人』はイルミナティーの重婚問題を扱っている?

 今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。ピンカートン探偵社創始者であるアラン・ピンカートンがイルミナティーのメンバーであった可能性は、『蝶々夫人』が、イルミナティーの重婚問題を扱っている可能性を浮上させます。
 
一昨日の本ブログで述べましたように、「切り裂きジャックJack the Ripper」事件と「アメリカの切り裂き男AmericanRipper」事件の両事件の犯人であるハーマン・H・ホームズH. H. Homesは妻を三人娶っていることから、隠れイスラム教徒、もしくは、重婚に寛容な「黒いユダヤ人」であったと推測されます(ホームズは、結婚届を別々の州に提出することで重婚していたのでしょう)。昨年の12月22日付本ブログで述べましたように、「黒いユダヤ人」たちは、事実上、一夫多妻制を敷いていたようであり、イスラム教に近い婚姻習慣を持つようになっていたようです。さらには、もっとルーズに「多夫多妻制」とも称すべき様な、婚姻という制度までをも否定するような過激思想も生じていたようです(「黒いユダヤ人」であるカール・マルクスは、婚姻制度を否定し女性の共有を唱えていた)。
 
イルミナティーこそ、「黒いユダヤ人」の国際組織のことですので、キリスト教社会にあっても、ホームズは、一夫多妻であったのでしょう(ホームズもイルミナティー、そのホームズを追跡・逮捕したピンカートンもイルミナティーということになる謎については、後日扱います)。
 
今日、多くの国々で重婚罪が設けられておりますように、イルミナティーによる一夫多妻は、当時においても、かなり問題視されたと推測されます。TVプログラムの『アメリカの切り裂き男American Ripper』によりますと、ホームズが、死刑判決を受けたのは、ホームズ夫人が、自分の他にもホームズには二人の妻があることを知って激怒し、ホームズにとって極めて不利となる証言を行ったからであるそうです。
 
重婚問題が意外と重要であることは、古代史上、最大の海戦とされる紀元前31年のアクティウムの海戦の原因が、アントニウスの重婚問題にあったことによっても示唆されるでしょう。ローマにオクタヴィアという妻がありながら、エジプトでクレオパトラとも結婚していたアントニウスが、オクタヴィアに離縁状を送ります。このことに激怒したローマ元老院が、クレオパトラに対して宣戦布告を行うことになるのです。対エジプト遠征軍の将軍に選ばれたのが、オクタヴィアの弟のオクタヴィアヌスであったことは、ローマとエジプトとの地中海世界の覇権をめぐるこの争いが、重婚問題に絡む私怨にも起因していたことを示しております。
 
また、重婚問題は、同じく「黒いユダヤ人」との関連が疑われるロシアのエカチェリーナⅠ世についても言うことができます。ピョートルとエカチェリーナは秘密結婚をしており、ピョートルは重婚状態にありました。この重婚状態を利用することによって、エカチェリーナは、所謂「従軍慰安婦」からロシア皇帝にのし上がったのです。重婚問題は、プライバシーの問題に留まらず、重大な政治問題でもあると言えるでしょう。
 
イルミナティーの重婚問題は、当時におきましても、一般の米国民が眉を顰めるような問題であり、オペラ『蝶々夫人』の原作者であるロングは、イルミナティーの重婚問題を、遠い異国の日本を舞台とすることで、それとなく批判・非難したのかもしれません。

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(続く)