時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

教皇選出にもイルミナティーの影?

  今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。イルミナティーの3つの中心勢力の一つであるイエズス会は、現在ではフランシスコ派がその主流を占めており、このことは、現法王が266代の歴代ローマ法王のうちイエズス会出身の初めての法王であり、その教皇名を「フランシスコⅠ世」となしていることによって象徴されていると言うことができます。
 
従いまして、現在のヴァチカンは、イルミナティーの影響が強いということにもなりますが、フランシスコⅠ世の就任が異例である点は、前法王のベネディクト16Benedict XVI(在位:2005419 - 2013228日)が、719年ぶりに自由な意思によって生前退位し名誉教皇となったことにもあります。‘自由な意思’とはされてはおりますが、その影に、イルミナティーがあった可能性を指摘することができるのです。
 
ベネディクト16世がその教皇名の由来とした聖ベネディクトスBenedictus de Nursia480年頃 - 547年)を創始者とするベネディクト派と、アッシジのフランチェスコFrancesco d'Assisi1182 75 - 1226103日)を創始者とするフランシスコ派は、人類の文明や知的豊かさに対して、正反対の考えを持っております。ベネディクト会は中世初期の混乱した時代において、キリスト教の知的遺産や古代文化を守り、次の時代へと継承する役割を担うとともに、観想修道会として殖産(技術革新・産業)にも力を入れてきた修道会であり(ベネディクトゥスはヨーロッパの守護聖人でもある)、一方、フランシスコ派は、人類の知的・精神的豊かさを認めない修道会であり、人類の動物化・非文明化を是としております。
 
仮に、イルミナティーが、ヴァチカンに強い影響力を持っていると仮定いたしますと、2013年3月におけるベネディクト派教皇の退位とフランシスコ派教皇の即位、すなわち、教皇の属する宗派の交代には意味があり、イルミナティーは、教皇の交代劇を演出することで、人類の文明・知性・文化を後退させ、替って、人類の動物化・非文明化を進めてゆくという計画を表現したとも考えることができます。
 
イルミナティーを構成する主要3勢力の一つであるロスチャイルド家代理人であると推測される習近平がフランシスコⅠ世と同日に就任している点も、このような憶測を補います。18世紀にイルミナティーが創設されますと、ベネディクト派のテンプル騎士団を、イエズス会が乗っ取ろうとしたことにつきましては、先述いたしました。ベネディクト派対フランシスコ派の問題は、過去の出来事やカトリック内のマイナーな問題ではなく、案外、現代史とも密接に繋がっているのかもしれません。そして、ベネディクト前法王が崩御ではなく退位であったという点は、イルミナティーの計画が果たして成功するのか、否か、疑問符を投げかけているとも言えるでしょう。

 
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(続く)