時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

イルミナティーは啓蒙思想を嫌悪した

 今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。本日は、昨日指摘いたしましたフランス王家を滅ぼしたイルミナティーの4つの目的のうち、第二点の当時のフランス王家の啓蒙君主化問題について考えてみましょう。
 
この問題につきましては、チャールズ・ディケンズCharles John Huffam Dickensが、ジャーナリストの視点からフランス革命を描いた小説『二都物語A Tale of Two Cities』(1859年)が参考になります。この小説によりますと、フランス革命前夜のフランスでは、啓蒙思想が人気を博しており、フランス貴族であった主人公のチャールズ・ダウニーも例外ではありませんでした。ところが、その伯父であるフランスの大貴族は、啓蒙思想を毛嫌いしておりました。この伯父は、領民たちの基本的権利を無視し、領民に重税を課すなどの悪政を敷いてたことから、フランス国内で最も不人気で、評判の悪い貴族でした。
 
そして、小説が、この主人公の伯父は、フランス国王からも特に嫌われていたと記述していることは注目されます。フランス国王も啓蒙思想の影響を受けておりましたので、主人公の伯父の悪政を問題視し、宮廷の要職からも外したのです。
 
独裁を好み、人々の基本的権利を無視するイルミナティーの性格が、この主人公の伯父と同じであることは、イルミナティーがフランス王家を滅ぼした理由を説明しているかもしれません。すなわち、啓蒙君主化していたフランス王家は、イルミナティーの世界支配計画にとって邪魔であり、イルミナティーは、フランス王家を排除しようとしたと推測することができるのです。
 
ルイ16世は、革命軍が迫っても、国民に銃を向けようとはしなかったとされております(自国民であるフランス国民に初めて銃を向けたのはナポレオン)。ルイ16世は、最後まで‘国民のための国王’であろうとする啓蒙君主としての姿勢を貫いたのではないでしょうか。断頭台に立ったルイ16世は、最後に民衆に向けて何かを伝えようとしたそうなのですが、無情にも革命軍が激しく打ち鳴らす太鼓の音によって、その声は、かき消されたと言われております。ルイ16世の最後の言葉は、イルミナティーにとりまして、極めて都合の悪い言葉であったはずであり、その言葉は、今日の情報化社会にあって、ある程度は再生できるような気がいたします。例えば、「フランス国民よ。イルミナティーに騙さるることなかれ!」。

 
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(続く)