時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

皇室の祭祀は廃絶できるのか?

 本日発売となりました文芸春秋の記事「天皇家に何が起きている」を読みましたところ、我が目を疑うような内容の意見が述べられており、驚くとともに大変心配になりました。この記事は、座談会形式で綴られているのですが、その中に、東宮問題を解決するために、「祭祀をすべてやめるような抜本的な改革」が必要ではないか、という意見があったからです。

 もちろん、この意見に対しては、「祭祀もやらない皇室とは何か、という難問」が持ちあがるとして、反対の意見も添えられていましたが、皇族の個人的な問題が、2千年を超える我が国の伝統祭祀の廃絶にすり替えられてしまうとは、どう考えてみましても、道理に合わないことと思うのです。皇室とは、祭祀あっての存在なのですから、もし、祭祀をしたくない、あるいは、個人的に別の宗教を信仰したいならば、自らが皇室を去るべきであって、祭祀を個人の都合で止めることはできないはずです。このような意見がまかり通れば、本末転倒が起きてしまい、皇室は、根柢からその存在基盤を壊されてしまいましょう。むしろ、きちんと伝統祭祀を継承できる方に天皇位を継いでいただく方が、よほど、皇祖皇霊を継いでゆくという意味において、理に適っていると言えます(長子継承は伝統ではありませんので・・・)。

 現代という時代は、地位だけで尊敬を得られるわけではなく、行動や人となりによっても評価されるものです。こうした身勝手な論理から支持されることこそ、東宮一家が、国民の信頼を失う原因なのではないか、と思うのです。