時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

国籍法改正と公的年金制度

 昨日最高裁判所で下された違憲判決を受けて、鳩山法相は、国籍法の改正を検討する方針を打ち出したと言います。本来、国籍法に関しては、立法府の裁量に任されるべきなのでしょうが、もし、この法律が改正されるとしますと、それは、公的年金制度の改革問題にも波及するように思うのです。

 今回訴訟となったような父親が日本人でありながら、婚姻の事実がないために、出生後の認知があっても国籍をもてない人々が、国内だけで、数万人に上ると言われています。もし、新たに改正された国籍法において、日本国内における居住を条件とせず、外国に住んでいる同様の立場の子供たちをも国籍付与の対象としますと、この数は、さらに膨れ上がることが予測されます。仮に、消費税を財源とした全額税方式の基礎年金案が実現するとしますと、日本国籍を持つ海外居住の日系人の方々に対する年金給付をどうするのか、という問題が発生してしまうのです。

 国籍法の改正に関しては、”認知ビジネス”の発生や偽装の防止が問題となっていますが、この法律改正が、条件次第では、他の政策分野に影響が及ぶことも十分に考慮すべきではないか、と思うのです。

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