時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

首相は北京オリンピック開会式出席を見送るべき

 四川大地震の被害者に対する我が国の救援活動が現地で評価を受けたこともあってか、日中友好が、予想を上回る急速なピッチで進展しているように見受けられます。しかも、それは、少なくとも日本側にあっては、政府レベルで加速しているようなのです。その兆候は、早々に北京オリンピック開会式出席を決めた福田総理の態度にも現われています。しかしながら、開会式出席は、チベット弾圧に対する批判の矛を収め、中国の内政問題とする主張に追従する意思表示と取られかねませんので、首相は出席すべきではない、と思うのです。

 外務省の中には、首相の開会式出席により中国に対して恩を売り、外交カードに使いたいという思惑があるとも伝えられています(本日付産経新聞朝刊)。しかしながら、中国が、日本国の友好政策に対して、恩義を感じるとは思えません。現に、日本国の医療団が被災地で活動していた5月下旬に、黄海で弾道弾ミサイルの発射実験を行っているのですから。つまり、この行為に、日本国の政策にはお構いなく、自己の目的を最優先で追及する中国政府の姿勢が見えるのです。もしかしますと、ミサイル実験は、軍部に力をもつ上海閥の策略かもしれませんが、それでも、周辺国との間に安全保障上の緊張を高めたことは確かです。仮に、将来において中国に上海閥の政権が誕生するとしますと、自国の防衛力低下と相手国の経済力の向上を伴う融和政策は、自らに跳ね返ってくることになりましょう。

 日中友好は、少なくとも中国が共産党政権である間は慎重であるべきであり、日本国の優先課題は、チベット東トルキスタンといった植民地支配されている諸国を支援し、主権平等に基づく国際社会を築くことではないか、と思うのです。現在の中国の政策を認めることは、侵略や不法占領を認めることと同じことなのです。

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