時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

中国政府系ファンドによる帝国石油買収計画の恐怖

 イギリスの『タイムス』の報道によりますと、中国の政府系ファンドであるソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)は、日本国の帝国石油を買収する計画を持っているそうです。帝国石油とは、東シナ界のガス田の試掘が許可された、日本国のエネルギー政策の一翼を担う民間の会社です。安全保障を理由に、Jパワー株の外資による買い取りにNOを突きつけた日本国政府のことですから、当然に、この買収案に対してもきっぱりと断るはずと思いきや、渡辺喜美金融担当大臣は、SWFの経営者と会見し、買収を歓迎する旨を伝えたの言うのです(gooニュース「平沼新党」勝負のとき:平沼赳夫<対談>関岡英之)。

 このお話、俄かには信じられない程のダブルスタンダードなのですが、もし、これが事実であり、政府が中国の政府系ファンドにより帝国石油の買取を許可するとしますと、これは、安全保障とエネルギー政策の両面において、日本国は、重大な危機に見舞われることになりましょう。政府系ファンドは、最近、他国の企業の買収には政策的な意図はなく、議決権を行使しないと弁解することしきりですが、帝国石油の買収に、政策的な意図がないはずはありません。敢えて、東シナ界のガス田開発に関わる企業を選んだことは、誰の目にも一目瞭然なのです。仮に、大株主となったSWFが、議決権を行使すれば、我が国の東シナ界のガス田開発は覚束なくなることは必至です。しかも、ダブルスタンダードによる信頼の失墜という副産物も付いてくるのです。

 もし、伝えられるように、渡辺大臣が、”断る理由がない”と発言したとしましたら、これは、政治的、あるいは、戦略なセンスや洞察力が欠けているとしか言いようがありません。あるいは、自国の安全保障上の危機を知りながらの発言であったとしましたら、確信犯の売国奴となりましょう。日本国には、日本国および日本国民のための政治家は、存在していないのでしょうか。ガス田の採掘は、国際法で認められた国家の当然の権利であることを忘れてはならないと思うのです。

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