時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

北朝鮮問題の根源は自己中心主義

 北朝鮮が六カ国協議から離脱したのは、アメリカとの直接交渉に持ち込むための瀬戸際作戦ではないか、との見方があります。この見方によりますと、北朝鮮は、核を放棄することと引き換えに、アメリカから金正日独裁体制の承認のお墨付きをもらい、合わせて経済支援も獲得しようとしているらしいのです。

 もし、この見解が正しければ、北朝鮮の最大の関心事は独裁体制の維持であって、国家権力と経済的利権の独り占め、ということになりりそうです。北朝鮮を支えてきた思想が、主体思想という独裁容認思想であることはよく知られていますが、この思想こそが、北朝鮮の存在意義を個人レベルに引き下げ、国家の私物化をもたらしている要因なのかもしれません。さらに、この思想は、主体=自己中心主義という徹底して利己的で自分本位な北朝鮮の行動パターンをも説明しています。かの国は、如何なる約束事も、自分の都合で反故にしてしまいますし、そもそも、約束や合意には拘束力あるとも考えていないようなのです。

 たとえ、米朝直接対話の実現によって金正日体制が維持されたとしても、独裁者のための国家という体質に変化はなく、経済支援は利権と化して独裁者の懐のみを暖めることになりましょう。北朝鮮が、国際社会の法やルールに従い、約束や合意はきちんと守るという行動パターンを身につけない限り、北朝鮮問題は、根本的には解決されないと思うのです。

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