時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

北朝鮮の核問題-話し合い路線が消えたとき

 国連安保理における非難声明の採択を受けて、北朝鮮は、六カ国協議を開く必要性はなくなったとし、核開発を推進する姿勢を示したと伝えられています。この発言は、北朝鮮が話し合いによる解決の道を自ら放棄する宣言となりそうです。

 結局、六カ国協議は徒労でしかなかったことが判明し、北朝鮮は、ミサイル発射実験によって、ミサイル開発と核開発の二つの”自由”を得たことになります。国際社会のルールから逃れたいかの国とりましては、最も望ましい状況に自らの身を置いたことにもなりましょう。しかしながら、他国を脅かし、国際社会に危険を撒き散らす傍若無人な”自由”は許されるのでしょうか。如何なる自由にも限界はありますし、他者を傷つける自由は犯罪に転じます。

 あるいは、この発言は、六カ国協議への復帰を条件に、何らかの譲歩を引き出そうとするいつもの作戦かもしれません。しかしながら、話し合い路線が消えたとなりますと、北朝鮮の核問題への解決方法は、選択肢が限定されてくることになります。NPT体制の命運をかけて、国際社会は、北朝鮮問題にこれまで以上に真剣に取り組まざる得なくなるからです。北朝鮮が国際社会のアウト・サイダーになることで獲得した”自由”の代償は高いのではないか、と思うのです。

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