時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

中国の「人権擁護計画」は犯罪者向け?

 珍しくも、中国が、人権保護を目的として「人権擁護計画」なる方針を公表したと伝えられています。この計画によって、過酷な人権弾圧が収まるであろうと期待してみたのですが、そうでもないようです。何故ならば、人権擁護の対象は、犯罪者に限りられているからです。

 監獄や拘置所における拷問や自白の強要は、一般の国ではとうの昔から禁じられてきました。中国が遅ればせながらもこうした方針を打ち出したことは、一歩前進とは言えましょう。しかしながら、中国の人権侵害で問題とされているのは、一般国民に対する言論や思想の弾圧やチベットの抵抗運動への武力行使といった、国民の基本的な自由や権利に対する侵害行為でした。「人権擁護計画」では、国際社会から非難を浴びている弾圧行為については、残念ながら何らの進展も示されていないようなのです。

 被疑者や受刑者に対する残酷な仕打ちをやめるようになったことは評価されましょうが、やはり、中国の「人権擁護計画」には重大な欠落があるように思うのです。中国の国民が真の基本的な自由や権利を享受できる日の到来は、共産党政権が崩壊するまで待たなければならないのかもしれません。

*本記事は、4月14日のヤフー・ニュースの記事に基づいて作成しましたが、本日付の新聞によりますと、「人権擁護計画」では、民主的選挙の推進などにも触れているようです。(4月15日訂正)

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