時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

尼崎脱線事故―JR西日本のためのささやかな弁明

 JR福知山線脱線事故については、事故発生当初からJR西日本に対する厳しい報道姿勢があり、マスコミもこぞって会社責任を追及してきました。昨日も、調査情報の漏えい問題で、袋叩きにあっていました。しかしながら、敢えてJR西日本を弁護するとしますと、事故の第一義的な責任は、電車を暴走させた運転手にあったと考えられるのです。

 最近、モンスター親子が登場するようになり、万引き行為を反省するどころか、本を万引きしやすい場所に置いたお店の側に責任があると主張するケースが見られるようになったと言います。ATSがあったならば、事故を防げたという主張もまた、この論理に近いように思うのです。交通事故にも、この論理を適用するとなりますと、自動車会社や運送会社は、スピードを抑制する装置を設置する義務を負うことになります。事故発生当時には、法的な義務付けがなかったのですから、JR西側を責めるのも酷なように思うのです。また、JR西側は、運転手に問題がありながら、再訓練のチャンスを与えたのですから、恩が仇になったとも言えます。

 かつて、日航機でも逆噴射事件が発生しましたが、この時には、機長の実名が新聞やテレビでさかんに報じられ、会社よりも、機長責任に重点を置かれていたはずです。もちろん、調査情報の漏えいには問題がありますが、全責任をJR西日本に負わせる報道は、いささかバランスを欠いていると思えるのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<A HREF="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</A>