時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

旧宮家にも皇位継承権があるのでは

 皇室典範の改正をめぐる議論は、一つの重大な見落としをしているように思えるのです。それは、旧宮家皇位継承権の問題です。この問題は、宮家という制度と皇位継承権との関係が、これまで整理されてこなかったことに起因しているようです。

 現代に繋がる宮家の制度は、昨日の記事で述べましたように、江戸時代に成立したものであり、必ずしも古来から伝わるものではありません。皇室典範もまた、宮家に関しては何も触れてはいないのです。昨今、議論されてきた皇室典範改正案では、諸外国に倣うかのように、男女問わずの長子継承や、女系継承までを視野に入れているようです。しかしながら、宮家の歴史や、諸外国の事例を考慮すれば、公設の宮家の範囲を超えて、皇統を継いでいる民間の有資格者にも皇位継承順位を認める方が理に適っているのではないかと思うのです。実際に、宮家の制度が存在していない時代には、宇多天皇のように、臣籍降下しながらも、天皇に即位された方もおられるのです。

 第二次世界大戦の敗北によって、旧宮家は公設ではなくなりましたが、家そのものが断絶したわけではありませんので、もしかしますと、今でも旧宮家の人々には、皇位継承権があるのかもしれません。将来、皇位継承者が悠仁親王お一人になられるとする心配は、皇位継承権の範囲を広げるか、もしくは、養子を認めることで解決するかもしれず、皇室典範の改正には、この点を含めた幅広い議論を要するように思えるのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<A HREF="https://blog.with2.net/link.php?626231">人気ブログランキングへ</A>