時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

女性の宮家創設は重大な問題

 昨日、新聞の論説に、”皇室典範の改正は急務”というタイトルで、女性の宮家創設を主張する記事が掲載されていました(4月18日付日経新聞朝刊)。しかしながら、女性の宮家は、ゆくゆくは女系の天皇容認を意味することになりますので、天皇家の歴史始まって以来の大変革となるのではないかと思うのです。

 宮家とは、古代から存在していた制度ではありません。鎌倉時代に家号として成立したものの、室町時代に一旦消滅し、江戸時代に、新井白石の建白によって再度、桂宮有栖川宮閑院宮の3家が創設されたとされています。その理由は、たとえ直系の皇位継承者が絶えたとしても、宮家があれば、皇位の継承を確かにすることができるからです。徳川御三家とおなじく、万が一の時の備えであり、実際に、光格天皇は、閑院宮典仁親王の第六王子であられた方でしたが、後桃園天皇の養子となり、第119代の天皇として即位されています。このため、もし、今日、女系の宮家を認めるとしますと、古来の男子継承の原則を変え、女系天皇を認めるか、天皇家の血を引く旧宮家の男子との間に婚姻を結ばない限り、この皇位継承者の確保という、宮家本来の役割を果たせなくなるのです。

 歴史上、父を天皇とする女帝はおりましたが、女系の天皇はおられませんでした。記事では、女系の宮家創設は、皇位継承問題を棚上げした最小限の皇室典範改正と述べていますが、最小限どころか、天皇の正当性が問われる大問題なのではないかと思うのです。

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