時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日本国民の多くも皇統を継いでいる

 皇室をめぐっては、生前退位-譲位-問題のみならず、皇位の安定的な継承にも言及する意見も見受けられます。皇位の安定的継承とは、実際には、女系天皇女性天皇、並びに、旧宮家の復帰問題なのですが、一つ、気がかりなのは、日本国民の多くも皇統を継いでいることを忘れていることです。

 日本国の歴史を見ますと、天皇の血統を厳格に閉じ込めるのではなく、全国に向けて広げる方針が採られていたようです。古代では、全国66の郡家から采女を採用する制度があり、この制度を介して、皇室の血は、地方にまで及んでいます。また、親王が源氏を名乗ったり、姓を賜って臣下に下る習わしもあり、天皇を祖とする家系は、少なくありません。天皇家は、日本国民の”本家”のようなもの、と称されるのは、こうした古来の慣習に拠ります。姻族等を含めますと、皇統は、多くの日本国民の血に流れており、広く浅く全国に拡散しているのです。

 こうした日本固有のあり方を考慮しますと、民間妃の入内による皇統が薄まってしまった今日にあっては、明治天皇の出自疑惑を除いても、皇統の濃さにおける皇室と国民の差は小さくなり、皇室を特別視することが尚更に難しくなっています。しかも、小和田家が出自不明では、”本家”の位置づけにも疑問が生じます(国民に知らせることなく、朝鮮半島出身者を妃としたのであれば、民心が離れるのは必至…)。

 皇位の安定的継承とは、現在の皇室の血統が繋がればよい、という意味であるならば、将来的には、婚姻等によって殆ど日本人ではない天皇の即位もあり得ます。外国や特定勢力の傀儡となったり、中国大陸や朝鮮半島風味の皇室に変質するのであれば、日本国民は、天皇家が途絶えても、自らが皇統を継いでいることで満足し、新たな国制のあり方を模索すべきではないかと思うのです(国民の皆が皇孫であると捉える方が、民主主義との親和性は高い…)。

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