時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

三種の神器の象徴化のメリット

 三種の神器を日本国統合の象徴とする案は、明治憲法体制を理想とする保守系の方々からは、全く以って不敬な意見と聞こえるかもしれません。しかしながら、日本国と日本国民の未来を考えますと、幾つかの点でメリットもあります。

 第一のメリットとは、以後、日本国、並びに、国民は、皇位の継承問題を心配する必要がなくなります。政府やマスコミは、今日の皇室の状況に鑑みて、しばしば、”皇位の安定的継承”について報じていますが、三種の神器が象徴となりますと、未来永劫にわたって象徴は、祭祀と共に後世に伝えられてゆきます。この点は、皇室にとりましても、”お世継ぎプレッシャー”からの解放を意味します。

 第二のメリットは、”ひと”ではなく”もの”が象徴であれば、如何なる勢力も個人も、その権威を利用して自らを利すことはできなくなります。皇室が、創価学会の影響下に置かれた理由も、天皇を利用すれば、日本国を間接的に支配できると考えたからに他なりません。天皇には、国事行為もありますし、対外的な儀礼における役割もあるからです。天皇に取り入ることで、利益を得ようとする勢力や個人は少なくないのです。

 第三に懸念すべき点として挙げられるのは、皇室の人々が、自らが気に入らない、あるいは、批判的な国民や組織に対して、権威を背景に”圧力”をかけたり、”排除”したり、”虐め”を行う可能性が否定できないことです。特に東宮家に関してはその兆候が見られ、国民の自由を圧迫し、恐怖感を与えるようでは、三種の神器の方が、はるかに望ましいことになります。

 第四のメリットは、皇室の婚姻に関する問題も消滅します。戦後、二代にわたり民間から皇太子妃が入内しましたが、皇室の著しい変質を招いたことは否めない事実です。今のままでは、皇室の人々も人である以上婚姻の時期に至りますので、外国勢力によるハニートラップや姻族による皇統乗っ取りの危機は続きます。

 第五として問題点を上げるとすれば、現状に鑑みますと、将来的に皇位継承争いが発生する可能性が高いことです。今般の議論では、女性・女系天皇女性宮家の問題は議題から外されていますが、仮に、皇太子と秋篠宮家、あるいは、その支援組織の間で皇位継承争いが起きる可能性は低くはありません。三種の神器であれば、こうした問題は起こり得ません。

 第六として挙げられる点は、今日の時代にあっては、昭和の時代ほどには国民が皇室を心の拠り所とはしていないことです。地方に行幸しても、”有難い”と感じる国民が少なくなればなるほど、こうした活動も地方自治体や住民にとりましては心理的にも、財政的にも、負担でしかなくなります。三種の神器であれは、祭祀費や伝統文化の継承・保護費には経費を要しても、皇室維持費は、大幅に削減することができます。

 人を象徴とするがゆえの国家的な混乱を防ぐために、歴史的な’聖遺物’を国家の象徴としている事例は、海外にもありました。以上に、三種の神器象徴化論について主たるメリットを述べてみましたが、いかがでしょうか。皇室をめぐる混乱が続き、疑惑もが渦巻く中、国民の多くが、むしろ、安心するようにも思えるのです。

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