時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

尖閣諸島の危機―対応策を準備しなかった政府の怠慢

 東南アジア諸国と中国との間で争いのある南沙諸島西沙諸島では、既に、尖閣諸島沖で起きた事件と同様の事件が発生していたそうです。当然に、日本国政府を中国の行動パターンを知っていたわけですから、中国漁船の出現が、尖閣諸島占領と周辺海域支配へのステップであることは(漁船の領海侵犯⇒中国監視船・調査船の派遣⇒日本漁船の拿捕…)、充分に承知していたはずです。

 2009年にこれらの事件が起きた時、日中友好を優先したマスコミは大きくは報道しませんでした(もし、大々的に報じられていれば、国民は警戒したかもしれない・・・)。しかしながら、少なくとも政府は、尖閣諸島東シナ海にも同様の事態が発生することを想定し、対応策を予め練っておくべきでした。にも拘らず、日本国政府は、場当たり的な対応で、船長を釈放してしまったことは、あまりに軽率であったとしかいいようがありません。漁船による侵犯の段階で中国の行動を止めるべきであり、次のステップ、つまり、中国の巡視船の派遣に進ませないように、最大限の努力をすべきであったのです。フジタ社員の拘束や、中国の強硬な対抗措置を国際社会に訴えれば、おのずと中国の横暴な態度に対する非難が高まり、おいそれとは、次のステップを踏むことはできなかったはずです。

 政治家とは、国家を背負って歴史における一回限りの決定を下すという重い責務を担うものです。その決定が、国家の命運を左右するのです。時間を逆戻りさせることはできませんが、中国のこれ以上の拡張主義を抑えるべく、政府は、あらゆる手段を尽くすべきと思うのです。

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