時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

国際社会は対中政策上の重大岐路に立っている

 尖閣諸島沖での事件やノーベル平和賞をきっかけとして、国際社会は、現在、対中政策について、重大な岐路に立っています。それは、”新冷戦”の下で中国との関係を断ち、完全に封じ込めるか、あるいは、中国の変化を前提に、これまでどおりの協調路線を歩むのか、という岐路です。

 もし、軍事力を背景に、中国が、覇権主義を唱えて、我が国を含む周辺諸国に領土的な野心を抱くならば、選択は、前者に決まっています。中国の一層の経済成長が、自国の独立や領土を危うくすると共に、第二次世界大戦後に築き上げてきた主権平等と民族自決に基づく国際秩序を破壊することになるからです。もし、後者を選ぶとしますと、国際社会は、これまで以上に中国に対して、国際ルールの順守と、法の支配に裏打ちされた民主化と自由化を求めることになります。しかしながら、中国政府が、国際社会の圧力に屈するとは考えられず、結局、前者となる可能性の方が高いと思われるのです。

 それでは、前者の道を行くとしますと、どのようになるでしょうか。もちろん、冷戦ではなく、人民解放軍の暴走により熱戦に転じ、第三次世界大戦の勃発というシナリオもあります。あるいは、中国国民の行動が、進路を変えるかもしれません。旧ソ連邦のように、国民が無抵抗であるばあいには、”新冷戦”構造は、長期化します。一方、もし、改革開放路線の期間に、海外の事情に触れ、自国の一党独裁体制に疑問を抱く国民が、共産党政権に反旗を翻すならば、あるいは、中国の共産党体制は、崩壊に向かうことになります。中国の孤立化は、外国資本や企業の撤退を伴い、大量の失業者と貧困層を生み出しますので、いわば、”逆革命”が起きるかもしれないのです。

 前者のシナリオにおいて、我が国や周辺諸国が警戒すべきは、旧ソ連邦が東側ブロックを形成したように、中国共産党の謀略によって、国民の意に反して、”中華ブロック”に組み入れられてしまうことです。外交政策上の重大な岐路にあって、親中派を抱える民主党政権には、不安を覚えるのです。

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