時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

尖閣ビデオ公開―公務員の職務規定絶対主義の落とし穴

 海上保安官の方が尖閣ビデオを公開したことについて、公務員の職務規定違反は怪しからんとして、厳罰を求める意見もあります。公務員の規律の弛緩は、国家の崩壊を招くと。しかしながら、その一方で、政治サイドによる厳格な公務員規律の徹底は、公務員から良心を奪い、全体主義体制を維持する手段であることもまた事実です。

 ナチス政権下のドイツでは、公務員には、総統に対する絶対服従の義務が課せられており、逆らう者は、冷酷に粛清されました。北朝鮮においても、公務員は独裁者の命令に従うだけの手足であり、異議を唱えることは死を意味しています。こうした全体主義国家では、公務員は、国家ではなく、政治家に忠誠を誓わされるのであり、たとえ犯罪行為を命じられても、従わざるを得ないのです。

 政府が、国益、法、道徳に反する行為を行い、国民の自由や権利を侵害する場合があることを考えますと、公務員の職務規定を絶対視することも危険なことです。気づかぬうちに、悪魔に奉仕させられていることもあり得るのですから。

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