時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

住民投票法制化―浮かび上がる選挙権と投票権の区別の問題

 生駒市で危惧の声が上がったように、最近、市町村レベルで、外国人に投票権を認める住民投票条例の成立が相次いでいます。ここにきて、国政レベルでも、地方自治体の住民投票を法制化する動きが活発化してきています。

 この問題、憲法問題と深く絡んでいると思うのです。憲法第15条は、参政権を国民に限定していますが、常設型住民投票条例では、(1)住民投票には法的拘束力がない、(2)住民票は、憲法に記された公務員を選定する権利(選挙権)ではなく投票権である、といった理由で、違憲性を避けて通ろうとしているようです。しかしながら、住民投票法が制定されますと、(1)の理由は成り立たなくなりますし、(2)についても、これまで意識されてこなかった問題点が浮上してきます。民主主義の原則に照らしてみれば、参政権と同様に、投票権も国民固有の権利と類推解釈することが妥当なのですが、もし、選挙権と参政権を区別するならば、地方レベルの投票権にあっても、憲法上に、根拠となるべき投票権を明記する必要性が生じることになります。つまり、憲法改正を要することになるのです。

 この問題は、国政レベルでの国民投票の導入に際しても論点となるものです。民主主義の深化により、政治家の選択みならず、政策や法律まで国民の選択が重視されるようになった今日であるからこそ、徹底して議論するべきと思うのです。

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