時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

TPPの金融支配論は本当?

 TPPについては、農業問題に加えて、金融市場の開放により、アメリカの大手金融機関やハゲタカ・ファンドによって日本国の金融市場が荒らされるのではないかとする懸念の声もあるようです。これは、本当のことなのでしょうか。

 アメリカの保険業や金融業は、既に日本国にも進出している一方で、JETROの情報によると、連邦レベル、ならびに、州レベルでの外資規制が存在しているそうです。たとえは、アメリカでも、、国内安全を確保するために買収案件を審査する委員会が設置されており、大統領もまた、外資による買収を拒否する権限を持ちます。連邦規制としては、主として航空と通信をはじめ、海運、発電、銀行、保険、不動産、地下資源、国防という9分野で適用されるそうです。また、銀行、輸出入、証券、保険、観光、信用歴調査報告業(Credit Reporting Industry)、消費者信用歴報告業(Credit Report Consumers)、非政府団体、金融サービス、企業登記サービスについては、財務省外国資産管理局が規制を統括しています。つまり、たとえTPPで自由化が合意されたとしても、相互主義に基づいて、少なくとも、アメリカの規制レベルに留まると予測されるのです。

 委員会による審査や大統領による拒否権など、日本国よりも厳しい面もあり、懸念されるような”荒らし”が起きるかどうかは不明です。この問題は、TPPの内容を詳細に吟味し、その影響を見極める必要があると思うのです。

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