時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

生活保護パチンコ禁止条例-生存権は”請求権”?

 兵庫県小野市では、「小野市福祉給付適性化条例」が市議会に上程されており、現在、条例案は審議中のようです。この条例に反対する人々の言い分によりますと、生活保護は、憲法第25条に保障された”生存権”の当然の行使というものです。

 しかしながら、生存権とは、政府に対して自己の生活の保障を求める”請求権”なのでしょうか。反対派の人々は、生存権を他者に給付を求めることができる積極的な”請求権”であると解しており、憲法が保障した権利なのだから、パチンコであれ、ギャンブルであれ、何に使っても誰からも文句は言われる筋合いはない、と主張しています。ところが、生活保護の財源とは、国民が納めた税金によって賄われていますので(税金は、国家の強制力で徴収されている…)、”請求権”と見なしますと、一部の人々が、他の国民に対して自らの生活の面倒を見るように強要する権利ともなります。しかも、最低限の生活レベルとは、客観的な基準はありませんので、主観によっていくらでも釣り上げることができます。月29万円でも足りないと不満を漏らす受給者もおるそうですが、当然の”請求権”という意識があるからこそ、こうした傲慢な発言が出てくるのではないでしょうか。

 このように考えますと、生存権は、積極的な”請求権”ではなく、他の一般国民が、”この程度が健康で文化的な最低限の生活レベル”と考えるラインにおいて、給付を受ける”受身の資格”と読み替えた方がよいのではないかと思うのです。つまり、一般の人々が、パチンコなどのギャンブルで浪費する生活は、最低限のラインを越えている、と見なすならば、受給者は、そのラインに従うべきなのではないでしょうか。

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