時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

沖縄の信託統治-”屈辱の日”は9月2日では

 沖縄県では、4月28日は、サンフランシスコ講和条約において日本国から切り離された”屈辱の日”と捉える見解があるそうです。沖縄県民全ての意見ではないにせよ、マスコミ報道などでは、沖縄への配慮が足りないと報じられています。

 しかしながら、仮に、”屈辱の日”を設けるとしたならば、それは、日本国が、降伏文書に調印した9月2日なのではないかと思うのです。あるいは、昭和天皇の御詔勅によりポツダム宣言の受託を表明した8月15日であるかもしれません。敗戦という耐えがたい屈辱の日を、昭和天皇の格調高い御詔勅を以って迎えることができた日本は、幸せな国でもありました。如何なる国にとりましても、戦争における敗北の日は、負けを認めて敵国に降伏するのですから”屈辱の日”となります。そして、この敗北によって、日本国は、冷戦期における地政学上の拠点としての重要性から、講和に際して沖縄等を信託統治とせざるを得なかったのです。このことは、沖縄のみならず、日本国にとりましてもまことに不本意なことであり、泣く泣くアメリカの施政に委ねることに合意したのです。否、当時の日本国の軍事力では、万が一、東側からの攻撃を受けた場合、沖縄を自力で守り抜くこともできなかったかもしれません。

 日本国は、決して、沖縄を見捨てたのではありません。沖縄の信託統治は、日本国が望んだことではなく、連合国からの要求に基づくものなのですから。沖縄県には、どうか、日本国もまた、当時、敗戦という苦難を背負っていたことを理解していただきたいと思うのです。

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