時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

戦勝国の人権侵害を問う時代に

 ”慰安婦問題”については、日本国内では、諸外国からの批判を黙認すべきとする意見がある一方で、韓国をはじめ、諸外国も、同様、あるいは、それ以上の残酷な行為を行いながら、不問に付されている現状を不満とする意見も少なくありません。

 前者の意見の人々は、”勝てば官軍”の論理に立脚しており、敗戦国の国民は、如何なる不条理な扱いを受けても、黙っているしかない、とする立場です。しかしながら、この態度は、人権が普遍的に尊重されるべきであるならば、自ら、その普遍性を否定していることになりますし、歴史的には、人権侵害の恒常化が敗者を下位に位置づけたことから発生したケースもありますので、自ら、人権侵害の根本原因を認めることにもなります。つまり、人権尊重と言いながら、実のところ、前者の人々は、人権侵害容認者なのです。そして、今日、中国が、急速な軍拡により、周辺諸国に対して武力行使する危険が高まっていることを考えますと、むしろ、戦勝国もまた、人権侵害を問われることを主張しておく必要もあります。中国のことですから、”勝てば官軍”、つまり、勝ては非人道行為が不問となるならば、民間人に対するサリンやウィルスの散布など、生物化学兵器の使用を厭わないかもしれません。

 このように考えますと、押し黙っているよりも、中国に対する牽制を込めて、戦勝国もまた、人権侵害については反省が必要なのでは、とする議論を提起することも、日本国の一つの選択肢ではないかと思うのです。これから起きるかもしれない悲劇を防ぐためにも。

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