時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

シリア軍事介入反対の大合唱は正義か

 シリアで使用された化学兵器は、サリンであった可能性が高いそうです。被害者の数は、子供達を含めた1429名にも上り、大量殺戮兵器の脅威をまざまざと見せつけています。

 アメリカは、化学兵器使用を咎め、議会の承認を得た上で、軍事介入に踏み切る意向を表明しましたが、イギリスは、議会の反対により介入を見送るなど、各国の足並みは揃っていません。日本国は、史上初めてサリンが使用された国ですので、化学兵器の使用に対しては、どの国よりも厳しい態度で臨でいただきたいところです。その一方で、マスコミをはじめ、左翼と呼ばれる人々は、介入反対で一致しています。化学兵器の使用は反政府勢力側の陰謀であるとか、アメリカは、言いがかりを付けて戦争を起こそうとしているとか、平和を掲げた軍事介入反対が、声高に叫ばれています。しかしながら、軍事介入反対は、正義と言い切れるのでしょうか。確かに、介入が泥沼化したり、大規模な戦争に発展する可能性はあります。その一方で、軍事介入をしなければ、化学兵器の使用は不問に付され、大量殺戮を可能とする兵器を保有する中国や北朝鮮等を勢い付かせます。特に北朝鮮は、シリアに対してガスマスクや武器などを密輸しているともされ、サリンをめぐるシリア・北朝鮮ラインも見えてくるのです。化学兵器の使用は、どの国にとりましても、他人事ではないはずなのです。

 軍事介入を頭から否定し、一方的に正義を自称している人々は、非人道的な民間人の無差別大量殺人をどのように考えているのでしょうか。良心に照らしてみれば、化学兵器の民間人に対する使用は、人道上も、国際法上も許されることではありません。化学兵器使用の非人道性を無視した軍事介入反対論には、政界やマスコミに根を張る中ロや左翼の影、そして、どこか無責任な偽善を感じさせるのです。

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