時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

相続分2分の1は婚外子差別ではない

 先日、最高裁判所違憲の判断が示された婚外子相続分差別の問題。マスコミの誘導につい流されてしまった感があるのですが、民法の規定をよく読みますと、実は、全く見当違いの議論をしていたようなのです。

 民法第900条には、「嫡出でない子の相続分は嫡出の子の相続分の二分の一とし」とあり、この部分のみが取り上げられて、婚外子差別の規定として問題視してきました。しかしながら、この記述に続いて、「父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする」とあります。つまり、片親だけが実の親である連れ子の場合もまた、民法は、2分の1と定めているのです。婚外子であれ、連れ子であれ、2分の1という相続分の数字は、実の親の数を基準に合理的に定められています。このため、仮に、嫡出子と婚外子との相続分の差をなくす一方で、連れ子の相続分の違いのみが残るとなりますと、婚外子と連れ子との間に新たな差別問題が持ち上がります。連れ子は、片親であれ嫡出子であるにも拘わらず、相続分が2分の1なのですから(それとも、連れ子の相続分も平等にすべきなのでしょうか?)。

 違憲判断を支持する人々は、明治時代制定された規定は差別的であるから、時代の変化に即して平等化すべき、と主張しておりますが、実の親との関係に注目しますと、民法が規定している2分の1は、婚外子を差別した非合理的な相続分ではないと思うのです(国際社会から批判された場合、2分の1の合理性で説明すればよいのでは…)。

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