時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

欧州諸国の婚外子平等化はイスラム配慮も一因では?

 先日、最高裁判所が示した婚外子相続分に関する違憲判断では、ヨーロッパ諸国における平等化の一般化と国連からの勧告が主たる根拠なそうです。日本国内の事情や国民意識は蚊帳の外なのですが、ヨーロッパ諸国において婚外子相続の平等化が進んだ理由の一つは、イスラム配慮なのではないかと思うのです。

 数年前、英国国教会の司教?の方が、”イスラム家族法も認めるべき”と提案したことが、英国内で物議を醸した事件がありました。この主張が実現されますと、イスラム教徒に限っては、英国内で一夫多妻制を認めるイスラム法が適用されることになります。その後、この提案がどうなったのかは不明なのですが(おそらく実現しなかったのでは…)、増加傾向にあるイスラム系移民の家族制度に対応するために、法改正が提案された事例の一つです。厳格な政教分離を貫いているフランスの事情は若干異なるのでしょうが、各国の婚外子平等化の背景には、イスラム法の問題が潜んでいてもおかしくはありません。何故ならば、一夫多妻制では、第二夫人以降の子供たちは、みな、婚外子になってしまうからです。一方、イスラム法では、母の違いに拘わらず、子の相続権は平等であり(ただし、女子は2分の1…)、分割相続がなされています。

 実際には、ヨーロッパのイスラム教徒の間でも、一夫多妻制は稀なそうですが(第二夫人以降は事実婚?)、民法改正には、その国が抱えている様々な事情があるものです。諸外国の平等化を以って、自国の民法改正の根拠とすることは、いささか乱暴なのではないかと思うのです。

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