時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

‘謀略史観’から集団的自衛権の問題を眺めてみればパート4:「味方の味方は敵」

今日は、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。
 
敵の敵は味方」という言葉があります。昨今の集団的自衛権の問題を考えるにあたりましては、「味方の味方は敵」という言葉をつくる必要があるかもしれません。
 
世界のいずれの国におきましても、国益や安全保障上の問題や課題があり、その国益や安全保障上の問題は、国内外の事情によりまして、それぞれ個々別々となっていると言うことはできます。したがいまして、例えば、A国とB国があったといたしますと、A国は、「B国と同盟を結ぶことによって、A国の固有の国益を守り、安全保障を確保できる」と判断した場合におきまして、B国と同盟を結ぶことになるわけです。もちろん、B国にとりましても、A国と同盟を結ぶことが、B国の固有の利益となるという相互利益の観点から、A国と同盟を結んでいることになります。集団的自衛権の‘集団’とは、‘A国とB国’を意味することになるのです。
 
しかしながら、同盟関係というものは、通常、他の一ヵ国のみと結ぶものではありません(ただし、我が国の場合は、米国1ヶ国のみとの同盟関係)。例えば、前出のA国は、同じくA国の固有の利益の追求として、C国とも同盟関係を成立させる場合があるということにもなります。こうなりますと、A国にとりましての集団的自衛権の‘集団’とは、‘A国とB国とC国’となるわけですが、ここで奇妙な状態が発生することになるのです。
 
それは、B国にとりまして、はたしてC国は、B国の固有の国益を守り、安全保障の確保に資する国であるのかと言えば、そうではない場合があるからです。B国にとりまして、C国は、‘仮想敵国’であるのかもしれないのです。今般、問題となっております集団的自衛権をめぐる米国、日本、韓国の関係が、まさに、これに該当することになります。我が国にとりましては、韓国は、‘仮想敵国’であるのですから、集団的自衛権の‘集団’に、韓国が含まれてしまいますと、それこそ「味方の味方は敵」という構図によって、敵を支援するという奇妙な状況が現出されてしまうことになるのです。
 
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(続く)