時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

世襲議員問題-候補者の情報公開は必須では?

 小渕議員の不明瞭な資金処理が問題視されて以来、世襲議員に制限を設けるべきか、否かが議論が起きているようです。問題の原因として、親や親族からの地盤やスタッフの引継ぎが指摘されているからです。
 
 戦前の我が国を含めて、世界各地で名望家議員による政治が行われていた事例があり、アメリカでも、ケネディ家やブッシュ家が名門として知られています。世襲のメリットとしては挙げられている点としては、親子間における政治的スキルや知識の伝承による専門性の高さ(早期英才教育…)なども挙げられていますが、有権者が、”その人を知っている”とする感覚が、政治家に対して安心感や信頼感を与えている点も指摘されています。地元の名士であったり、世話役であれば、親戚縁者を含めて全て情報が有権者の間で共有されています。しかしながら、現在では、こうした名望家タイプの政治家は、わずかに地方に残されているくらいで、その殆どは、たとえ世襲議員であったとしても、有権者から遠い存在であることが少なくありません。親の代の議員からして、官僚出身であったり、タレント議員であったり、戦後の闇市から這い上がった議員…もいるからです。諸外国では、候補者の出自に関する個人情報は、当然のこととして公表されております。
 
 このことは、既に、世襲議員のメリットも大幅に低下しており、いよいよもって、有権者は、情報不足の状態での投票を強いられていることを意味します。候補者の情報なき投票によって当選した議員は、”国民の代表”とは言えないのではないでしょうか。
 
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