時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

「進化論」から見えてくる人類共通の脅威:ホモ・ナレディの発見によって人類進化はどこまでわかるのか

今日は、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。昨今、ホモ・ナレデイHomo Nalediという新種のホモ類の化石が多数発見されたそうです。考古学上の大発見であるそうですので、今日は、ホモ・ナレディの発見からわかる人類の進化のなぞについて、指摘させていただきます。
 
ホモ・ナレディの最大の特徴は、上半身の骨格は類人猿に近くて、頭脳も小さいにもかかわらず(脳の容積は、1玉のオレンジ程度)、下半身が人類に非常に近く、直立二足歩行していたという点にあるそうです。想像してみますと、お猿さんが、人間のように直立二足歩行しているということになります。
 
このことから何がわかるのかと言いますと、まずもって、人類は、自らの頭脳の重さを支えるために、直立二足歩行になったとする通説は、再考の余地があるということです。すなわち、人類の脳が大きくなったがゆえに、人類は、直立二足歩行になったのではなく、直立二足歩行になってから、人類の脳は、大きくなっていった、ということになるのです。換言いたしますと、チンパンジーのような類人猿も、進化の過程によっては、頭脳が小さいままに、直立二足歩行になっていた可能性もあるということになります。
 
仮に、ホモ・ナレディが、絶滅していなければ、地球上に、‘『猿の惑星』の逆バージョン’が出現していたかもしれません。すなわち、『猿の惑星』の猿たちは、人類に近い脳を持ちながら、骨格・体型は、非直立二足歩行の類人猿という設定ですが、ホモ・ナレディの世界は、その逆に、類人猿に近い脳を持ちながら、骨格・体型は直立二足歩行の人類であるということになるのです。
 
ホモ・ナレディと現生人類との関連は、まだ解き明かされていないようですが、なぜ、人類のみが、脳を発展させることができたのか、といった点は、直立二足歩行の可・不可では、説明されえないことになります。

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(続く)