時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

進化論から解く人類共通の脅威:自然環境よりも怖い「謀略渦巻く国際情勢」という環境条件」

今日は、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。9月18日付本ブログの記事といたしまして、仮に、人類がこの先、進化するのであるのならば、適者生存の原理からは、「次世代ホモ・サピエンス」は、今後予測される地球規模における自然環境の変化に対応できるだけ、知能において、すぐれた人類であるはずである、と指摘させていただきました。
 
このように、適者生存の基準が、知能の高低にあるのでありましたならば、適者生存という意味におきまして、「次世代ホモ・サピエンス」を生じさせるような環境条件には、自然環境よりも、重要、もしくは、怖い環境があるかもしれません。それは、「謀略うずまく世界」とも表現すべき世界・国際情勢という環境である、と言うことができます。
 
第一次・第二次世界大戦は、多くの人類に災禍をもたらし、この両大戦における死傷者数は、人類滅亡の可能性を想起させるような数にのぼりました。しかしながら、この両大戦が、本当は、どのような原因で、どのようにして起こっていたのか、といった問題の解明、すなわち、真相の解明は、いまだに、進んでおりません。
 
共産・社会主義勢力によるかなりの工作活動や謀略があったことは、これまでも、多くの研究者から指摘されてきているとおりであり、両大戦の発生原因をめぐりましては、いわゆる「謀略論」は、否定され得ません。このように、歴史が、謀略によって動かされ、人類が、滅亡の危機に陥る可能性があったという‘史実’は、謀略を見抜く能力の有無が、人類の生き残りにとりまして重要であることを示唆している、と言うことができるのです。
 
この点におきまして、トロイの滅亡をめぐるカッサンドラ伝説は、人類に教訓を与えております。トロイの御姫様であるカッサンドラは、いわゆる「トロイの馬」が、トロイ城内に引き入れられる際に、一人、「トロイの馬」を引き入れることに反対した人物です。しかし、他の人々はみな、「トロイの馬」が謀略であることに気付かず、城内への引き入れに賛成するのです。カッサンドラ一人が、反対したところで、どうしようもなく、カッサンドラの警告は無視され、結局、トロイは、「トロイの馬」の内部に潜んでいたギリシャ兵たちによって滅ぼされてしまうことになるのです。
 
しかし、仮に、カッサンドラ派が、多数であったならば、事態は、どうであったでしょうか。ギリシャによる「トロイの馬計画」は、失敗に終わったはずです。すなわち、カッサンドラほどの洞察力のある人々が、増加いたしますと、謀略に対応することができることになるのです。仮に、人類の多くが、謀略を見抜く知能を持つようになり、多数派となったのでしたならば、こうした人類こそが、――見かけこそ、おそらくは、現生人類とそう大きな変わりはないのでしょうけれども――、「次世代ホモ・サピエンス」である、ということになるのでしょう。
 
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