時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

習発言は南シナ海の一方的領有宣言-危ない尖閣・沖縄

 先日、中国の習近平主席が米国を国賓として訪問しました。米中首脳会談では、南シナ海の問題も議題となったそうですが、この席で、習主席は、”南シナ海は中国の固有領土”と言い放ったと伝わります。

 国際社会では、正当に領有権を主張するためには、国際法上の要件を充たす必要があります。地図を見れば一目瞭然ですが、中国が、南シナ海の島々を領有していた歴史は存在していません。また、領海も排他的経済水域も近現代の国際法の産物ですので、海域を領有するという概念も過去の中国にはなかったはずです。つまり、南シナ海の問題の本質とは、現代国際法のおける領有の正当性の争いなのです。にも拘わらず、習主席が”中国の固有の領土”と言い切ったことは、国際法を完全に無視した一方的な領有宣言に他なりません。そして、こうした一方的な領有宣言が、野蛮な世界への逆戻りであり、如何に国際社会にとりまして危険であるのか、過去の歴史は示しております。

 親中派や左翼の人々は、中国脅威論の打ち消しに躍起となっておりますが、南シナ海の”固有の領土”発言を、どのように弁護するのでしょうか。中国が南シナ海に対して示した見解は、尖閣諸島や沖縄に対しても主張されることでしょう。習主席の発言に、中国の脅威が目前に迫っていることを読み取るべきではないかと思うのです。

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