時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

東住吉事件-再審でも有罪となる可能性

 マスコミでは、無罪確定のような報道ぶりですが、東住吉事件は、再審が認められても有罪判決が出る最初のケースとなる可能性があるのではないかと思うのです。

 刑事事件では、状況証拠だけでは有罪判決を出すのは難しいとの指摘があり、兎角に、動かぬ証拠としての物的証拠の有無が重要視されます。しかしながら、全てではないにせよ、状況証拠だけで有罪と判断できる場合もないわけではありません。それは、容疑者が、犯行目的の達成を事前に織り込んだ行動をとっている場合です。東住吉事件では、借金を抱えた状態で被害者の女児に対して死亡保険金をかけていた不自然な事実に加えて、マンション契約の前払い金を支払おうとしていたとされています。マンション価格は4000万円程ともされており、収入が不安定な状況での契約は、この頃、何らかの方法で纏まった資金を手にする見通しがあったからと推測されます。犯罪計画がなければあり得ない行動が確認できる場合、それは、犯罪の存在を裏側から証明しているとも言えるのです。

 本事件については、情報も限られていますので(不正確な内容が混じっているかもしれない…)、必ずしも、上記の推測が正しいのか分かりませんが、少なくとも、無罪と決めつけるわけにはいかないことは確かなようです。マスコミが報じるような再審、即、無罪の決めつけは、事実を歪め、正義から遠のくことになるのではないかと思うのです。

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